「馬鹿だね」
妹子は本当におばかさんだ。小気味よく笑うと、妹子は小動物のように震えていた。
その怯えている姿も何だか可愛らしくて、ふふふと笑みを重ねると妹子の頬に手を滑らせた。
妹子が何も紡げないまま、私は妹子に言ってみせる。真実を告げてみせる。
「逃げられるわけなんかないのに」
ふるふると首を横に振る妹子。でも、その振りも弱い。ねえ、身体も震えたままだよ?
そんな否定をしたって私を煽るだけだ。分かってよ。もう妹子は逃げられないの。
「ずっと此処に、私のそばにいるんだよ」
「… た いし」
意を決したかのように妹子が口を開いた。まだ震えている。だけど涙は見せないのが妹子らしい。
ん?とやわらかく笑ってみせる。その笑みにも怯えているかのように肩を震わせた妹子は、可愛らしい唇から言葉を発した。
「もう、やめてください」
「何をやめるの?」
「こんな…ことです」
「こんなことってなに?」
「わ、かってる、癖に…」
「分かってるって?
妹子を法隆寺の地下に幽閉してること?妹子に手錠をかけて足に重りをつけて逃がさないようにしてること?妹子を暗い部屋に押し込んでること?妹子を私のそばに置いていること?妹子を籠の中にずっと入れておくこと?ねえ、どれ?どれ妹子。私何か間違ってる?だってこれは全部妹子が好きだからなんだよ妹子を愛してるから何処にも行かせたくないからたったそれだけなんだよねえ妹子、」
妹子こそ分かってないよね。こんなにも愛してるって言うのに。
首をふるふるとまた振った妹子の口から「ぼくは、ぼくはたい」その言葉を噤ませるように私は妹子の唇を塞ぐ。
半ば開いた唇から逃げる妹子の舌を簡単に絡めて捕まえて、ほうらあとはわたしのもの。
潤んだ瞳を逃がさないように見つめて、そのまま噛み付くように首にキスをした。
逃がさないよ。絶対に逃がさない。もうずっと私たちは一緒だよ。ねえ妹子、ずぅっと、一緒。
個人の趣味サイトでありまして、著作権の侵害などの目的は無く、
原作、企業、作家様とは一切関係ございません。
そしてこのサイトには同性愛、変態要素盛りだくさんなので観覧の際はお気をつけください。
※絵や文の無断転載は禁止です。
※オンラインブックマークもやめてください。
Powered by "Samurai Factory"