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太妹への愛により作られてしまった、半ば勢いに乗りすぎた期間限定日和サイト。 もっぱら太子と妹子しかいません。 たまに自重しない時にはご注意を。
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Posted by - 2024.11.23,Sat
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Posted by 緋夏(ひなつ) - 2008.10.31,Fri
(ハッピーハロウィン!)

 

午後三時。先程からまるで当たり前のように僕の家の居間に居座っていた太子が突然口を開いた。
「そういえば妹子、今日はハロウィンなんだよな」
「え?ああ、そうでしたね。」
イベント事に殆ど興味を持たない自分にとって、ハロウィンの存在など目の前の相手に言われるまで気がつかなかったであろう。
にい、と笑った太子は僕に手を伸ばしてきた。広げられたその手は、どう見ても何かを欲していた。
「というわけで、お菓子、頂戴」
「…はいはい。丁度この時間ですしね。言うと思いましたよ」
呆れたように笑みを浮かべた僕は、ため息を吐きながら立ち上がった。
居間にある引き出しを漁れば、あるのはこの前貰った饅頭ひとつのみだった。
太子に食わせるだけなら充分かとそれを取ると引き出しを閉める。
また先程と同じ場所に座り込むと、太子と僕を挟む机の上に饅頭を乗せた。もちろん太子のほうに寄せて、だ。
「残念ながらうちにはこれぐらいしかありません。充分でしょう」
「…最後のひとつ、か。ありがと妹子」
何か含み笑いをしたような気もしたが、それを打ち消すかのように太子はにへらと笑うと饅頭の包みを開いていった。
僕は机に肩肘をついて彼の動向を見ていると、太子は饅頭を綺麗に半分に割り、片方を僕へと向けてきた。
「妹子も食べんしゃい」
「…いいんですか?足りるんですか太子、それだけで」
「足りないけど、一人で食べると寂しいし」
「それが理由かよ」
悪いかと暴れるような仕草をする太子を一瞥して、とりあえずその饅頭を受け取りひとくち口に含んだ。
広がる小豆の味に少しだけ頬を緩めながらも、飲み込むと「ありがとうございます」と静かに告げた。
その一言が太子には嬉しく思えたのか、またにへらと笑うと太子も美味しそうに食べ始めた。
(饅頭、か)
思い出すのはこの人とのイカダだ。あの時はこうなるとも予想してはいなかったし、むしろ考えてすらいなかっただろう。
だって険悪だったし。どうしようもなく。しかし、あそこまで不器用だとは思わなかった。たかが饅頭を割るぐらいで。
他のことは出来る。それは胸を張っていえる。それなのに何故あそこで饅頭を綺麗に割ることができなかったのか。
大きいほうを普通に渡そうとしたらあまりに嬉しそうな顔をするものだから、思わず小さいほうを出してしまったけれど。
なんて酷い照れ隠しだ、と今でも思うほどだった。思わずため息をついてしまった僕に、太子が怪訝そうな顔をしていた。
(あーあ。何でこんなにこれだけでこの人のことを思い出せるようになったんだろうなあ)
きっとそれは、この人と一緒に居すぎているから。そして、「恋人」などという関係になってしまったからだろう。
思っていなかった。思うわけがなかった。こんな馬鹿で臭くて阿呆で変な奴を好きになるなんて。しかも男だし。それに摂政だし。
(でも、)
選んでしまった。僕はこの人を。選んでしまったのだ。…そして一旦僕の思考はここでストップすることにした。
(こう考えるとあまりにも自分が女々しくなるから嫌だ…)
考えをなくすかのように俯いたまま饅頭を全て食べ終えてしまうと、僕は顔を上げた。

そして、そこに太子は居なかった。

「いーもこ」
「ひっ!?」
何時のまにか右隣には太子が居て、気がつかなかった僕は思わぬ奇声を上げてしまった。恥ずかしい。
「此処まで来ても気がつかないとは…一体何を考えてんだよー。私が居るのにー」
「な、なんだっていいじゃないですか…思い返してただけですよ!」
ふぅんそっかと納得したのかしていないのかは図りかねるが、太子はそのまま満面の笑みになると僕に「ねえ妹子」と言った。
さり気に両肩にかけられている手と、満面すぎる笑みに、僕の口元はひくついた。
「な…なんですか太子」
「トリックオアトリート、妹子」
「へ」

「お菓子くれなきゃ悪戯するぞ」

僕の血の気が恐ろしく引いていくのが分かった。思わず後ずさろうとする僕を、肩にかけられた手が許してくれない。
まさか、まさかこいつまさか。
「私がイベント事忘れるとでも思ってた?」
三時になった近くに、ハロウィンのことを口に出し始めたのも。お菓子頂戴なんて言ってお菓子を食べたのも。
――最後のひとつだといって、含み笑い、したのも。
「さ、大人しく私に悪戯されてね?妹子」
この事が目的で…………ッ!?
「ちょちょちょちょっと待ってください太子、あ、あんた狙ってたんですか!?」
「狙ってたって、だってお菓子よりももっと美味しいものがあるじゃん」
「なんですかそれ」
「ユー」
わざわざ指差してまで。反抗しようとする僕を軽くあしらい、僕の背中は簡単に家の床についてしまう。
正に絶体絶命。首筋をするりと撫でられ、僕の身体は直ぐにびくついてしまう。もう嫌だこの身体!
「私のこと思い出して今の私をそっちのけにする妹子にはお仕置きが必要だね」
「な、なんで、そこまでっ」
「だって饅頭だし。ウォンチューだしね」
今の発言には絶対にハートマークがついていたことだろう。太子は笑みを崩さないまま、そう語る。
なんだよ。なんなんだよこいつ。前髪をあげられ、額にキスが落ちる。羞恥に自分の顔が赤く染まってるのが理解できてしまう。
そのまま順番順番かというように頬やら瞼やらに落ちていくキスに、抵抗していた手の力が抜けていく。
それを見計らったように、太子はくすりと僕に微笑んだ。
「ハッピーハロウィン?妹子」
畜生、絶対後で仕返ししてやる。
ただその気持ちを胸に秘めたまま、「…ハッピーハロウィン」と呟き返した僕の唇に、太子が噛み付くように口付けた。

 

 

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Comments
無題
( д)゜ ゜
ででで・・・(ん?
デレ芋キタ――(゜∀゜)――――!!
私がしていた妄想を実現してくれるとは・・・(偶然だろ。自意識過剰め☆
けしからん、もっとやれ。←

気が付いたら毎回コメントしてますね;;
もうストーカー決定だコレ・・・;;
Posted by 舞雪 - URL 2008.11.01,Sat 21:58:37 / Edit
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