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太妹への愛により作られてしまった、半ば勢いに乗りすぎた期間限定日和サイト。 もっぱら太子と妹子しかいません。 たまに自重しない時にはご注意を。
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Posted by 緋夏(ひなつ) - 2008.09.25,Thu
(妹子の悪夢、その翌日の幸せな夢。ほのぼのあまあま。書いていくにつれ後半がgdgdになるのは緋夏クオリティ)


 

 

時折、持て余すことの出来ない不安が過ぎる。

その日の夢見も悪かった。妹子は勢い良く起き上がると苦しそうに息を吐いた。
この息と共に先程までの夢も流れて消えてしまえればいいのにとどれだけ思ったことだろう。
だがそんなことはない。こんな悪い夢こそ脳裏に焼きつくもので。思わず眩暈がする。
今目に焼きついているのは自分の見慣れている家の部屋ではあるが、瞼を閉じれば先程までのことが思い返されそうで嫌だった。
だけれど眠らなくては明日の仕事に支障が出てしまう。…しかしそうやって目を閉じてまた違う悪夢を見る。
(…今度は、)

今度は、青い姿の彼が自分を本当は嫌いだったと罵る夢だった。

彼から聞いたこともないような言葉が、夢の中では容易に再生されてしまう。自分の想像が作り出した声。
それは紛れもなく彼の声で、妹子はどうしようもなく泣きたくなる衝動に駆られた。―――嗚呼。
起き上がった身体の力を抜き、妹子はそのまま自分の布団へと倒れた。仰向けの身体をうつ伏せにすると、枕に顔を埋めため息を零す。
(それを見るたびこんなにも苦しくなるのは、そんなにも僕が太子を好きだということか)
思い知らされるのだ。苦しくなる度、胸が痛くなる度。それほどまでに自分は彼のことが好きなんだということを。
もう後戻りは出来ない。彼とはもうそのような関係であり、身体を交わらせたことだってあるのだ。
(だけれど――)
彼がもし、自分を嫌いだといったら。いらないといったら。自分は、離れるしかなくなる。
自分と彼の格差はどうしようもなく大きいもので、本当はああやって気軽に触れていい存在なんかではないのだ。
だから自分からはいえなかった。好きだなんて言うことが出来なかった。
募る想いに悲鳴を上げる身体を見つけてくれたのは、彼だった。彼が、太子が。自分を好きだといった。
信じられなかった。信じられる訳が無かった。ただの悪戯かと思った。そうなら殴りつける準備をしなければなんと思ったことだ。
その前にそうやって好きだの意味を勝手に解釈する自分にも一発殴りたくなったものだ。
だけれど彼は、自分と同じ好きなのだということを言葉をもって身をもって、自分に教えた。
(…馬鹿だ、あの人は)
これでもう離れることも出来なくなった。何も伝えなければ何時かは離れるときがくる。その時を緩やかに待てばいい。
でももう離れることなどできない。前よりももっともっと、彼を好きになっていることを日に日に思い知らされる。
馬鹿みたいに自分の名前を呼ぶ声が。嬉しそうに自分に駆け寄るその姿が。
声が、手が、身体が、全てが―――。
「―――重症だ。」
口から出されたその呟きに、妹子は思わず笑ってしまった。


その翌日、結局寝付くことができなかった妹子は職場で必死に睡魔と戦っていた。
何度眠ろうにもあの悪夢が蘇る気がして、怖くて眠ることが出来なかった。
だからせめて何か別のことを考えていようと思ったら、簡単に日は明けた。
此れぐらいなら眠らなくても平気かと思っていたが、人というものは簡単にうまくいかないものだと思い知らされた。
(眠い…)
筆というものは一瞬でも睡魔に襲われてしまえばずれて先程までの苦労が無駄になる。
そんなのはごめんだ。絶対に御免だ。どうにかこの仕事だけでも終わらせたいのだ。
根気だけで筆を動かすと、最後の行まで行き締めに入る。よっし終わった。
(…寝てしまいたい)
そう考えた自分の頬を両手で叩くと、次の書類に手をつけようと手を伸ばした。
「いーもこ!!」
その手は止まった。ぎぎぎという効果音が聞こえるぐらいに僕はその声の主、太子に振り返った。
寝付けない原因であるやつの顔は今日は見たくなかった気もするのだが、いかんせん相手をしてやれるのが僕しかいないので仕方がない。
太子はにししと笑うとずかずかと仕事場に入り込み、終いには僕の腕を掴んで立たせた。
「外に行くぞ妹子!」
「な、僕はまだ仕事がっ」
「いいからいいから」
ちょっと妹子借りてくよーとお気楽に太子は言った。そんなことを言われたら他の方は何もいえないじゃないか。
気を抜けば降りてくる睡魔と闘いながら、僕は太子に引きずられるように外に出て行った。

太子が僕を連れてきた場所はよく太子と散歩するときに来る草原だった。
あたたかい日差しが身体中に降り注いでくる。何だか心地よい。
「ほらほら、座って座って」
何を考えているのか分からないこの馬鹿摂政は、また引っ張るように僕を座らせた。
座った僕をみてよしよしと笑った太子はその場に寝転がった。
「太子…一体何しにきたんですか…。僕仕事というものがですね、」
「妹子も寝転がらない?気持ちいいぞー。毒妹子には必要な純粋な光というものがあるぞ」
「毒なんかねーよ!僕は花か、それとも雑草か!?」
「ふっかふかのほわほわで気持ちいいぞー。ちょっとちくちくするけど」
「それはあんたのウール100%のジャージだと思います」
「な、なにをー!?そんなにちくちくしないわい!ちょっとはするけど!!」
「やっぱりするんじゃないですか!もうぅ~…」
大きくため息をつくと、僕は草原に寝転がった。…ああ、確かにふかふかな感じもする。
それに、身体に降り注ぐ日差しが全身に広がって、夢心地になりそうだ。
思わず閉じてしまいそうな瞼を僕は首を振って目覚めさせようとした。

「君、ゆっくり寝てないだろ」

びくり、と身体が震えた。その声の先を見ると、太子が肘を立てて横になったまま頬杖をして僕のほうを見ていた。
「な、なんでわか…」
「さっきの書類も半ば眠りかけてたからな。摂政は空気読んだぞー。ちゃんと仕事が終わったあとに呼んでやったからな」
「み、見てたんですか」
「妹子、終わらせようと頑張ってただろ?だから見届けてやろうと思ってな」
そう笑った太子に、思わず頬が熱くなる。なんなんだ、なんなんだよこのひと。人を観察するなんて。
…いや、本当は心のどこかで嬉しい自分が居るのだ。自分を見届けてくれた。見守ってくれた。それだけが。
その直後、目の前が真っ暗になった。
いや、視界は良好だ。ただ光が遮られただけで。
「…何覆いかぶさってんだオッサン」
「妹子を寝かしつけてあげようと思って」
「それがどうしてこんな体制になるんですか!あんたおかし、」
唇が覆いかぶさり、言葉は紡げなかった。啄ばむようなキスが、顔中に降り注ぐ。先程の光のように。
「っ、な、なに…ん、ちょ、ちょっと太子…」
自分の体温が急上昇していく。顔が熱い。絶対いま自分の顔は赤いのだろう。
太子の蹂躙が終わると、大きな手が自分の頭に置かれているのがわかった。そのまま優しく撫でられる。
「好きだよ妹子」
優しく微笑む太子に、また顔が熱くなる。額に一つ、キスが落ちる。その感触に思わず小さな声を上げた。
「眠いときはゆっくり眠りんしゃい。私はここにいてあげるから」
「…あ、あんたがいたって何になるっていうんですか…」
「そりゃあハーブ効果とか?」
「カレーの夢でも見せる気ですか全く…」
「美味しそうな夢じゃないか!」
「丁重にご遠慮させていただきたい、です……」

ああだめだ。ゆらりゆらりと意識が薄れてく。睡魔に襲われる。
だけれど、目の前にこのひとがいるというだけで、何故だか無性に安心した。瞼が重い。閉じる。

―――私はここにいてあげるから

もしかしてこのひとは、僕が眠れなかった理由も全て分かっていたんじゃないんだろうか―――
そんなことを考えていたまま、僕の意識は重く重く沈んでいった。

 


「…おやすみ、妹子」
それにしても相変わらず可愛い笑顔だな、と私は笑った。先程までの妹子の隣の位置に座り込むと、起こさないように右手で妹子の頭を撫でた。
「いくらでも私に頼っていいって言ってるのに」
相変わらず自分に優しくできない男め。何かお仕置きをくれてやろうか。
ここ数日妹子の具合がおかしいのには気づいていた。たまに話を聞いていなかったり、何処か俯き気味だったり。
それが夢見の原因だと分かったのは昨日だった。夜、仕事場で寝ていたのを起こしてやろうと思ったら妹子が辛そうに唸っていた。
小さな声で私の名前を呼んでいたことも、知っていた。せめてもの何時もの声で起こしてやると、妹子は私を見て、一拍置いて太子と呼んだ。
それからは何時もの妹子で、頑張って自分を保っているのだと知った。でも、それじゃ何時までも妹子が浮かばれないだろう?
「私のことで悪い夢を見ているんなら、いつだって傍にいてあげるよ」
そうやってもう一度撫でてやると、また妹子が前みたいに私の名前を小さく呼んだ。
だけれどその次に浮かんだのは小さな笑みで、幸せな夢を見れているのだろうなと思えた反面、

「…………妹子め、」

思わず自分の顔が赤くなった。ほら、こういう起爆剤をくれるのも世界でたった君だけ。
「…夢の感想でも聞いてやろうかな」
幸せに眠る君に、意地悪く私は呟いた。

 

 

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