潜む

（シリアスたいもｓｓ。ただ会いたかった）

 

潜truthむ

貴方に会いたかった。

それだけの衝動がどうして僕をここまで突き動かしたのか。
今となってはもう分からない。僕がここまで出来ているのかもわからない。
目の前の低い体温に永遠に縋り付いていたいのは紛れもない確かであるのに。
彼を壁に押し付けてその膝の上に乗って縋り付く僕はどれだけ貴方から見て滑稽だったのか。
（愚問、か）
貴方が好きだからこその過ち。そう、それでしかないのだ。
この過ちが全てを飲み込み変えてしまったのかもしれない。
貴方が好きで仕方がなくて。貴方を好きになってしまって。貴方の傍にいたくて。
あなたの、
「会いたかった」
そう言葉を零したのは僕ではなく貴方だった。顔も上げられずにいる僕を彼の両手が僕の両頬に触れて上げさせた。
優しく微笑んでいる貴方が其処に居る。貴方も同じだったと？そう言ってくれるのであろうか。
「会いたかったよ…寂しかった…」
妹子も、同じなんだね。
その言葉を聞いた途端僕の涙は塞き止められず溢れていった。彼は、太子は其れを拭うこともなく見つめている。
そうしてその程度時間が経過した後、太子の唇が僕の目元に触れたのが分かった。

…息を潜めて、僕らはふたりだけの、恋をする。